贈りもののマナー

-ラッピングでセンスアップするには?       
●包装紙やりボンはギフトに合わせて       
   日本の贈答体裁である折形に対して,欧米でも同様の心を表す習慣があります。それがラッピング。パーソナルギフトを贈る場合には,包装紙やりボンの色柄,素材を駆使し,自由に包装してみてはいかがでしょう。ただし,贈る目的や内容,贈り主と受け取る側の関係に合わせて,それ相応の色や包み方,リボンを使うのは日本の贈答体裁と同じ。祝いごとや慶びごとには明るく楽しい色柄の紙を,悲しみのギフトには落ち着いて心安らぐ色を使うといったひと工夫は,贈りものに込めた心をより一層明確に伝えてくれるはずです。
   包み方は,折形のように難しい決まりはないものの,包装紙が柄物で上下がある場合には品物の向きと合わせるのは当然のこと。日本人同士の贈りものには,折形同様に紙の合わせは右前にしたほうが無難です。あとはセンスを生かして自由にラッピングすれば,贈る相手にも喜ばれるでしょう。
   またラッピングした贈りものの場合,表書きに代わるのがカードです。
   宛て名と贈り主の名を記し,贈る気持ちの言葉を添えてリボンにはさんで贈るのがマナーです。

−グリーティングカードの素敵な使い方は?     
●感謝の気持ちをメッセージに託して
   外国ではポストカードやグリーティングカードが上手に活用されており,またその頻度もひじょうに高いようです。最近は,日本でもそうしたカードの専門店が増えていますから,贈りものをするときにグリーティングカードにちょっとしたメッセージを添えて渡すのもしゃれた方法ではないでしょうか。
   カードは電話などとは違ってあとに残るものです。それだけに書き方のマナーや心遣い,センスが問われます。
   親しい間柄だからといって,ぶしつけな表現はタブー。メッセージは伝えたいことを端的にまとめ,感謝の気持
ちが込もった内容にしましょう。たとえば,手づくりの食べものを贈るならその調理法や,どこかのおみやげであれば,そのエピソードなどを簡単に書き添えておくのも一つ。そうしたメーセージが添えられているだけで,もらったときの気分や印象がずいぶん変わるものです。
   ただし,目上の方に贈る場合,原則として縦書きにすること。簡単な案内状や賀状,暑中見舞いなど以外は,封書でないと失礼にあたることがあるので注意したいものです。一筆箋や絵はがきを白い封筒に入れてもいいで
しょう。       

−先方に伺うときのマナー、手渡すときのマナーは?
●謙遜でなく心を込めて選んだことを伝える
   贈りものを渡す場合に,謙遜とはいえ「つまらないものですが」と前置きするのは疑問です。むしろ「おいしいお菓子を見つけましたので,ぜひ召し上がっていただきたくて」と,心を込めて選んだ贈りものであることを伝えたほうがより気持ちが伝わります。謙遜は必ずしも美徳ではないのです。気持ちを素直に表現することは,贈りもの上手になるいちばんの秘訣と言えるでしょう。
   また,直接伺うときには事前に電話や手紙で先方の都合をたずねて,日時を約束しておくのがエチケット。改まった訪問なら,一週間くらい前に連絡しておきましょう。結婚式などの慶事のお祝いは大安や友引の日柄をみて届ける心配りも必要です。反対に,葬儀などの弔事に関する贈答は友引を避けるのがしきたりです。
●威儀を正して贈る場合はしきたりにのっとって
   贈りものは,できれば配送などで人任せにするのではなく,持参したいもの。手みやげ,おすそ分けを除いて,品物は風呂敷に包んで持参し,中の品だけを出して先方に渡します。ただし,ていねいに威儀を正して贈る場合は,品物をお盆に載せて袱紗をかけてから,風呂敷に包んで持参を。もちろん,店の包装紙などは取り除いた状態にするのが正式な方法です。包装紙がかかっていてもいい場合は,手みやげなどの軽い贈りもの。風呂敷や袱紗は,贈答の目的によって使い分けます。先方に差し出すときは,風呂敷から出して口上を述べてから袱紗を取り除き,盆ごと先方に向けて差し出します。袱紗は自分の手ではずして,表書きが先方の読める向きにして贈るようにします。もっとも,地域によっては袱紗をかけたままおくることもあります。
   このほか手みやげなどを手渡す場合に,鉢植えなどの大きな品やナマモノは玄関先で渡します。この際「ごあ
いさつは後ほどにして,これはナマモノですので先に冷蔵庫へお入れください」などとひと旨添えることを忘れないようにしましょう。