−墓を建てたときの供養は?
●開眼供養を行う
新しく墓を建てたときは,いわゆる「魂入れ」と言われる開眼供養を行います。この供養は,墓に宗教的な役割をもたせる大切な儀式で,お彼岸やお盆,年忌法要などのときに合わせて行うことが多いようです。
法要は,墓の前に小さな台を用意して,供物,ろうそく,線香を並べ,僧侶に読経してもらい,参列者は焼香をするという簡単な内容の法要です。
招く人は,身近な近親者だけでいいですが,法要を合わせて行うときは,法要への出席者にも参列をお願いします。
●喪中や忌中でなければ喪服は不要
忌中や喪中に開眼供養を行う場合は喪服が必要ですが,それ以外のときは,一つの祝い事ですから男性はダークスーツを,女性もそれなりの装いでかまいません。
●僧侶へお礼として金包みを
開眼供養のときの表書きは「御布施」「開眼供養料」として,白い封筒にお礼を包みます。故人が亡くなってから時間がたっているときは,紅白の水引の金包で「建碑御礼」と書きます。霊園などに出向いてもらったときは「御車代」を別に包みます。
−開眼供養に招かれた場合は?
●金包を持参する
招かれたときは,供物かお祝いを持参します。故人が死亡して間もなくの法要の場合は,表書きは仏式なら「御仏前」で。建立者が生前のとき,あるいは十三回忌以降であれば,紅白の水引で「建碑御祝」「御供養料」とします。
●参列する服装は華美にならないこと
供養が忌中や喪中のときには喪服が必要ですが,それ以外のときに供養が行われる場合は,喪服の着用は必要ありません。
男性は,ダークスーツ程度で,女性もドレッシィなスーツやワンピースなどでかまいません。ただ式の性格上,華美にならないように注意しましょう。
長男長女同士が夫婦の場合は?
墓地の形状も社会や意識の変化にあわせて変わっています。例えば,長男長女同士が夫婦の場合,墓石に双方の実家の姓を列記したケースをみることもあります。
また子どものいない夫婦やシングルの人は,共同墓地や永代供養墓を用意するなど墓のあり方が変化しています。
−墓参りへはいつ行く?
●命日や彼岸には欠かさず墓参
基本的にいつ行ってもよいのですが,故人の命日や彼岸などにはぜひ参りたいものです。
地方や家によっては,法要以外にも,年末年始などに家族で墓参するところもあります。
●お参りは墓地を掃除してから
墓参りに持って行くものは,お供えの花,ろうそく,線香,数珠(仏式の場合),故人の好きだった食べ物などのほかに,掃除用のたわしやぞうきん,歯ブラシなども準備します。
これは,まず墓地に着いたら掃除をしてからお参りをするためです。墓石の汚れを洗い流して,ぞうきんできれいにぬぐいます。古くなった卒塔婆は決められた場所に移し,周囲の雑草ちりなどを取り除きます。
墓地をきれいにしたあと,皆で参拝をします。花を活けかえ,線香は一束のまま火をつけて線香立てに置きます。水鉢がある場合は清水を入れます。供物を整えて供えます。
縁の近い順に墓石の上からひしゃくで水をかけ,線香をあげ,合掌します。
参拝がすんだら,花以外の供物は持ち帰ります。ろうそくの火を消すことを忘れないように。供物は,その場で皆でいただいてもよいでしょう。
寺院墓地の場合は,初めにお寺にあいさつをして,本尊にお参りをすることを覚えておきましょう。
●神道の場合は榊やお神酒を供える
神道でも参拝の前に掃除をするのは仏式と同じです。参拝では線香はいりません。花立てには,榊を供えるようにします。お神酒や洗い米,塩を供えるとより正式になります。参拝の仕方は,二拝二拍手一掃で,神棚への参拝と変わりません。故人の好きだった食べ物を供えてもかまいません。
●キリスト教式では掃除をし生花を供える
キリスト教式の墓への参拝は,特別の決まりはありません。しかしカソリックなら,十一月二日の「死者の日」には参拝したいものです。
参拝は,掃除してから墓前で生花を供え,讃美歌を歌い,礼拝します。
墓は生きているうちに建ててもいい?
生前に準備した墓を「寿陵」あるいは「逆修墓」と呼びます。戒名をもっている人は,その戒名を刻んで朱を入れておき,その本人が亡くなって納骨したときに,この朱を落としてしまうか,黒く塗り替えます。