葬儀・告別式

−プロテスタントの式次第は?
●参列者全員による讃美歌の斉唱
@出棺式
   棺が教会へ向かう前に,牧師を自宅に呼び,出棺の祈祷をお願いします。また同席している遺族によって讃美歌が歌われることもあります。出棺式のあと棺は教会へ運ばれます。
A参列者着席
   一般参列者は,開式の十分前には式場に入っているようにします。席順はカソリックのときと同じで,最前列から喪主,遺族,近親者,友人・知人,会社関係者それに一般参列者となります。
B牧師入場
   開式の時刻になるとオルガンが演奏され,牧師を先頭に棺,喪主,遺族が続いて入場します。参列者は,演奏が始まると起立して迎えます。棺が祭壇に安置され,牧師をはじめ,喪主や遺族が所定の席に着いたら参列者は着席します。
   最近では,参列者の入場の前に,棺は祭壇にすでに安置されているケースがほとんどです。
C聖書朗読
   讃美歌の合唱で葬儀が始まり,一般参列者も起立して入場の際に受け取った聖書や讃美歌が印刷されたものを参考に合唱に加わります。印刷物の配布がない場合や歌わないときは静かに聞いています。続いて参列者全員に
よる聖書の復唱が行われ,終わると着席します。
D祈祷・説教
   牧師が祈りを捧げますから,全員黙とう,あるいは復唱します。祈りの後,牧師は故人の略歴を述べ,信者としての行いや人柄などを紹介し,つづいて説教が行われます。参列者は静かに拝聴しています。再び牧師は祈祷をし,そのあと参列者は讃美歌を歌います。
E弔辞・弔電披露
   キリスト教では,葬儀は故人の弔いよりも神をたたえることに重きが置かれていますが,式次第に弔辞や弔電の披露を組み込んでもらうこともあります。その場合は,牧師の指示に従って,司会者や進行係が弔辞を述べる人や弔電の差出人を読み上げます。
F頌栄合唱・祝祷
   参列者一同は起立して神の栄光をたたえる讃美歌を合唱し,牧師の祝祷を受けて葬儀は終了になります。
G遺族代表のあいさつ
H献花
   告別式にあたる献花を,喪主,遺族につづいて一般会葬者も行います。終わると出棺のために教会内か外で待ちますが,それは係員の指示に従います。

−無宗教の葬儀はどんなかたちで?
●故人の生前の人柄や生き方にふさわしい演出で
   宗教的な色彩を消した葬儀や告別式を行う例が増えていますが,その多くは故人の遺志によるところが多いようです。
   葬儀は,そもそも遺族を中心に故人と親しかった人が別れを惜しむものですから,宗教色がない葬儀だけにさまざまな演出を考えることができます。故人の人柄や生き方,趣味などを考慮して,それにふさわしい式次第や演出を考えるとよいでしょう。
   多くの場合,祭壇は故人の遺影とその周りを花で飾ってしつらえ,故人の業績や一 生をほうふつとさせる品などがあれば飾ります。友人や知人が司会をつとめるのが一般的です。
   式次第は,故人の経歴や功績などを紹介し,親交のあった人のなかから代表が弔辞を述べます。友人や知人の追悼の言葉や弔電の披露のあと,遺族の代表があいさつをします。
   故人の生前の声やビデオなどを流して,故人を偲ぶこともみられ,音楽などで雰囲気を盛り上げるのもよいでしょう。また告別式では,参列者が献花をするのが一般的になっています。

新しい葬儀のあり方を考える市民グループ
   近ごろは近親者だけで「お別れ会」をし,火葬に付したあと知人・友人などに通知して生前の交誼に感謝する葬送の形が増えつつあります。これは「自分の死後は自分で決めたように葬ってほしい」という人たちの遺志を尊重したもので,信仰の自由や家制度にとらわれない新しい葬儀のあり方を示しています。
   現在,こうした動きは市民グループを中心に展開され,「二十一世紀の結縁と葬送を考える会」「もやいの会」「りびぃんぐ ういるす」といったグループが活動しています。たとえば「もやいの会」の例でいえば,生前に自分の葬儀のあり方(演出)を決め,会に登録,委任し,死亡後に依頼された人もしくはグループの手によって葬られるというもの。業者主導の葬儀ではなく,新しい葬儀のスタイルとして今後注目されます。