−仏式の通夜の方法は?
●「半通夜」が一般的
通夜は,故人の現世の最後の夜を共に過ごすというもので,かつては文字通り夜通し行われていました。弔問客は翌日の葬儀にも参列するのですが,最近ではさまざまな都合から,昼間の告別式には参列せず,通夜に訪れる弔問客が多くなっています。そういうところから,夜通し行われていた通夜も「半通夜」と言って,夏場なら午後七時ごろから,冬場なら午後六時ごろから始められ,約一〜二時間で終わるのが一般的になっています。
儀式は一時間程度で終了しますが,灯明と線香は夜通し絶やさないという昔ながらのならわしで行っている家も多いようです。この場合は,遺族が交代で遺体を見守ることになります。
●会葬礼状,通夜ぶるまいを整える
近ごろ,弔問客は通夜だけに参列する人もふえていますので,通夜でも「会葬御礼」の礼状を手渡すことが多くなりました。これは,葬儀社に頼むと整えてくれます。ていねいにするなら,通夜と葬儀当日の会葬御礼の供養品を違うものにすると気がききます。
通夜ぶるまいは,食事の席を設けるほかに,お茶とお菓子,あるいは,少量の酒と折詰などを「粗供養」として会葬礼状とともに持ち変えってもらう例もあります。地域,環境によって決めましょう。
−仏式のお参りの仕方は?
●読経のあと喪主から順に焼香する
読経はおよそ三十分前後続きますが,その間,参列者も唱和するか静かに聞きます。読経が終わると僧侶がまず焼香をし,続いて喪主,葬儀委員長,故人に近い関係の遺族から参列者全員が行います。
祭壇の前に進んで,本尊,遺影に一礼し,右手の三指で香をつまんで香炉にくべて合掌。もう一度本尊と遺影に向かって一礼,僧侶にも一礼して席に戻ります。
香をくべる回数は宗派によって異なりますが,仏教徒で自分の方針をもっている場合はそれに従い,ほかは一回。
自宅での葬儀の場合は,回し香のときがあります。この場合,僧侶から喪主に香炉が渡されますが,次に葬儀委員長,ついで喪主の隣に座っている遺族。あとは席順に香炉を回して参列者全員が焼香します。
回し香の場合は,香炉を渡されたらひざの前に置き,祭壇に向かって一礼して香をたき,合掌して拝みます。
そのほかに部屋の外で焼香をする場合もありますが,このときは,会場へ到着順に焼香を行います。
なお読経中は,参列者は静かにお経を聞いていますので,小さな子どもを連れている場合は,はしゃぎ回ったりしないよう注意しましょう。
−僧侶のもてなし方は?
●通夜の前後に茶菓を。通夜ぶるまいにも同席を
僧侶が到着したら,まず控え室へ案内し,そこで茶菓でもてなします。喪主と世話役代表があいさつをして通夜の内容などを確認しておきます。戒名をまだいただいていない場合は,祭壇に飾ってあった白木の位牌を渡して,この場で書いてもらいます。
通夜が終わった後は,再び控え室へ案内し,茶菓でねぎらいます。続いて通夜ぶるまいになるわけですが,司式の僧侶にも同席していただくのが原則。喪主がその席にお誘いして,上座に案内します。二人以上の僧侶に来ていただいた場合には,控え室に膳を運んで召し上がっていただいてもよいでしょう。
僧侶の都合などで通夜ぶるまいに同席しないときや精進料理でないときは,現金を「お膳料」として包み,「お車代」とともに渡します。「お食事を用意しなければならないところを,失礼します」とお詫びの言葉を添え,金包をお盆に乗せて差し出します。「お膳料」は一人五千円〜一万円くらい,「お車代」は寺との距離によりますが,同地区なら五千円くらいでしょう。菩提寺が遠く離れている場合は交通費の実費を上回るよう考慮します。
また翌日の葬儀・告別式についても,このときに打ち合わせをしておきます。
●焼香の仕方
@遺影に拝礼したら左手に数珠を持ち,右手の三指で香をつまみます
A香をつまんだままささげ念じます
B香炉の中へ静かに落とします
C合掌し,深く一礼します
D僧侶と遺族に一礼して席にもどります
●線香の立て方
@ろうそくの炎の下方から火をつけるようにします
A線香の炎は左手であおいで消します
B線香は一本に思いを込めて立てます