訪   問

−訪問するとき心掛けるべきことは?
●先方の都合を聞いて日時を約束する
   目上の方に限らず他家を訪問するときには,常識としてあらかじめアポイント(約束)を取っておきます。先に手紙で訪問の主旨を伝え,後日電話で先方の都合を聞いて具体的な日時を決めるのが理想的。先方にもお客さまを迎える都合がありますから,遅くとも一週間前には連絡しましょう。
   日時を決めるにあたって,こちらの都合を押しつけてはいけません。あくまでも相手の希望に沿うようにします。先方から指定された場合以外は,早朝や深夜はもちろん,昼食や夕食の時間帯も避けること。午前中なら十時から十一時ごろ,午後ならば一時から三時ぐらいに訪ね,一時間ほどでおいとまするのがマナーです。
●ドアの開閉はゆっくりとていぬいに
   インターホンで名前をつげるときは,インターホンから二十センチ程度前に立って名乗りましょう。そうすると声のとおりがよくなり言葉がはっきりと伝わります。
   ふつうは家の方がドアを開けるまで待ちますが,インターホンで「どうぞお入りください」と言われたときには,自分でドアを開けて玄関に進みます。ドアを開けるときは,はじめに少し開いてなかの様子を伺い,それからゆっくりと自分の体が通れるくらいまで広げます。玄関に入ってからドアを閉めるときは,ドアに対して斜めに構えて立ちましょう。これなら,後ろ手でノブを持ったり,相手にお尻を向けずにすみます。

−友人宅に車で訪問するときはどうすればいい?
●車で訪問することを事前に伝えておく
   突然車で乗りつけて平然と先方のお宅の前に駐車するのはマナー違反。そんなことをしてご近所から苦情が出たり,駐車違反で罰金ということになれば,相手に余計な心労をかけてしまいかねません。
   車で訪問したいのなら,アポイント(約束)の電話を入れるときに,どんな用件で何人で伺うかに加えて,車で訪問する旨を伝えておく必要があります。

−手みやげはどんなものがいい?
●季節感のある花やお菓子を手みやげに
   手みやげは訪問のあいさつとして差し上げるものですから,訪問の目的,主旨に沿ったものであることが第一。そして,高価すぎない分相応のものにします。頼みごとやお礼などの場合は体裁も金額も整えますが,ふつうの訪問なら二千〜三千円程度の菓子折りが一般的。相手の好みや家族構成を考えて選ぶのがポイント。状況がわからないときは,お菓子のほか,季節感のある花や旬の果物など,だれにでも好まれる品物を選ぶのが無難です。
●のし紙の表書きは用件にあわせたものを
   手みやげの品には必ずのし紙をかけ,初めて伺うお宅や頼みごとがあって訪れるときには「ご挨拶」と書くなど,目的にあった表書きと名前を書くのが礼儀です。ふつうは「粗品」かリボンがけにします。先方のお宅の近所で買うのは,いかにも間に合わせという感じで失礼にあたります。

−手みやげを渡すタイミングは?
●大きくて重い物は玄関で渡す
   手みやげは,室内に入ってあいさつをすませてから差し出すのが基本ですが,先客があるときや玄関先だけで帰る場合,大きくて重いもの,植木などの場合は,玄関で渡すようにしましょう。
●手みやげはあいさつを終えてから差し出す
   手みやげは,部屋で「本日はお忙しいところお伺いしまして恐縮です」「本日はお招きいただきましてありがとうございます」などのあいさつを終えたあとに差し出します。持参する手みやげは,お店の袋よりも風呂敷に包むと,よりていねいなイメージを与えます。相手の前で風呂敷から手みやげを出し,品物を一度手元に置いてから相手の方に向きを変えて差し出すのがマナーです。
   よく「つまらないものですが」という言葉を添えて手みやげを差し出すシーンを見かけますが,そういうへりくだった言い方よりも「○○○のお菓子がお好みと伺いましたので,求めて参りました」「おロにあうとよろしいのですが」など,心のこもったひと言を添えたいものです。

−手みやげをお客さまにお出しするのは失礼?
●親しい間柄ならおもたせを一緒にいただく
   日本では,いただきものをその場で開くことは失礼とされていました。けれども最近では,欧米流にいただきものをその場で開けて喜び,好意に対してお礼をいうのが新しい生活習慣として根づいてきているようです。親しい間柄なら「おもたせをご一緒に」とこちらで用意したものと一緒にお出しします。
   とくに手づくりのケーキを持って訪ねてこられたら,こちらはお茶を用意し,喜んでおもたせをごちそうになりましょう。