−婚約の方法にはどんな形式がある?
●二人の気持ちや考え方にふさわしい婚約方法を選ぶ
結婚するという二人の約束を公のものとするためには,いくつかの方法があります。
基本的には本人二人以外の第三者が立ち会って証人になることが欠かせない一つの要素でしょう。立ち会い人は,信頼している先輩や二人のことを気にかけてくれる親類や上司,恩師などが一般的。もちろん親しい友人などでもかまいません。場合によっては親や兄弟でも立派な立ち会い人となります。
立ち会い人がいない場合には,婚約の証しとなるものをつくる方法もあります。これには多くの場合,お互いの気持ちを表す品物,例えば代表的なところではエンゲージリングなどを贈り合うという方法が考えられるでしょう。
どういった方法を選ぶにしろ,二人の気持ちや考え方にもっともふさわしい形を選ぶことが先決。そのうえで周囲の人たちにも理解してもらえる正式婚約の方法を考えることが大切です。二人が決めた方法がいちばん正式な婚約と言えますが,例として代表的な五つの方法を挙げてみました。
@結納
日本特有の習慣として行われている婚約の方法です。現在でも,結納による婚約がもっとも一般的で,数多いケースでしょう。
地域や家によって結納に対する考え方や意味,その方法にはかなりの違いがあるようです。また,時代の移り変わりに伴ってさまざまな形に変わってきています。ですから,結納をもって婚約にしようというときには,その方法などについて双方でよく打ち合わせをする必要があるでしょう。こういった打ち合わせに関しては,本人同士を通して行うのがもっとも良い方法です。結婚が二人の問題ということもありますが,地域や家のしきたりなどについて,双方の意見をお互いに本音で話し合えるからです。
多くの場合,新しく姻戚関係を結ぶにあたって,共に飲食するための酒肴や祝儀用品,現金を白木台に載せて贈り合います。もしくは,男性から女性に贈るという形式をとることもあります。いずれにしろ,現在では,現金を伴うことが結納の特徴と言えるでしょう。
結納品も地域性や家のしきたりなどが強く影響するものです。贈られる女性側としては結納品を長く飾っておいて人に見せるしきたりもありますので,こういったこともよく知ったうえで,結納品を選ぶようにしたいものです。
S記念品交換
最近増えているのが記念品の交換による婚約です。これは,婚約という無形のものを有形にするために,品物を交換し,誓いの証しとする方法。自分の気持ちを品物に託して互いに贈り合い,それを受け取ることで結婚を承諾する意思を表します。
その意味では,結納も婚約記念品の一パターンと言えますが,現金が伴う点が特徴のため,“品物に思いを託す"ということを強調したのが記念品交換です。欧米の習慣が日本にも馴じみ,今ではエンゲージリングを贈る例が圧倒的多数です。
指輪以外では,男性から女性へはネックレスなどのアクセサリーや衣服など。女性から男性へは時計やアクセサリー類,スーツなどを贈るのが一般的です。品物にこだわる必要はありませんが,気持ちを託すにふさわしいものを選ぶようにしましょう。
B婚約式
キリスト教徒の場合,神と会衆の前で誓う婚約式は結婚するための必須条件です。宗教によらない婚約式でいちばん大切な要素は,第三者の前で誓いを交わすこと。結納や記念品交換などが証拠づくりであるのに対し,これは二人の誓約に重点を置いた証人をつくる方法です。
キリスト教の信者でない場合でも,自分たちにふさわしい誓いを親しい人たちの前で行えば婚約式になります。立ち会い人を前に,結婚を誓ったり,誓約書を交換するほか,記念品を交換してもいいでしょう。
C婚約パーティ
婚約式と同じく証人づくりの意味合いを持ちますが,「何でも楽しんでしまおう」という若い二人にふさわしい方法です。親しい友人や知人,親や親類のほか,仲人などを招いて婚約披露パーティを二人が主催します。結婚式ではないので,ティーパーティやカクテルパーティなどの軽くくつろいだ会が適しているでしょう。
パーティの内容は婚約発表を中心に,記念品交換やお互いの家族紹介,祝辞など。婚約式と併せて行うケースも多く,費用は二人が折半するのが一般的です。
D婚約通知状
親しい人たちに集まってもらう代わりに,通知状を受け取った人に婚約の証人になってもらおうという方法。欧米ではもっとも一般的な習慣で,婚約の通知状を出すほか,地方新聞などに広告を出して社会的承認を広げることもあります。
日本では友人や知人に通知状を出す程度。あまり行れていませんが,数多く婚約の証人をつくるには最善の方法かもしれません。結納などで婚約を正式発表しなかった場合や,身内だけで婚約式や婚約披露パーティを行った場合にも,婚約を知らせたい人にあてて通知状を出すことがあります。この婚約通知状は,二人の連名で出すのがいいでしょう。