縁談を求めるとき

−縁談を求めるにはどんな方法がある?
●個人に頼むか,結婚相談所を利用する
   広い範囲から結婚相手を求めるには二つの方法があります。一つは,知人や友人などに縁談を依頼して,お見合いをする,かつてはこれがもっともオーソドックスな方法だったようです。
   お見合いというのは,どうしても古いイメージでとらえがちですが,結婚したい男女が,その伴侶を広い範囲から求めるという意味で一つの合理的なシステムといえるかもしれません。ただ,この場合,あまり多くの人にお願いすると,同じ人のところへ違うルートから縁談が持ちこまれることもあり,「安売りしている」という印象をもたれかねません。お願いするのは三〜四人が限度でしょう。
   もう一つは,個人の関係を超えて広範囲に相手を探せる結婚相談所を利用する方法です。結婚相談所には,地方自治体が運営している公的なものと,民間が経営するものとがあります。さらに,民間のなかでも,会社が従業員の福利厚生を目的として設置しているもの,学校や団体の厚生活動の一環として運営するもの,情報産業としてコンピュータなどを使って会員同士を紹介する専門の企業などがあります。
   これらの機関を利用した場合,<広い範囲から自分の希望により近い人が探せる〉 <相手を求める際の気遣いが不要〉 <周囲に迷惑がかからない〉など,個人に世話になるよりドライに割り切れて,面倒がない点が好まれているようです。

−紹介機関を利用するには?
●公立は経費が安く,本人の意思と資格を重視
   公立もしくは,それに準ずる結婚相談所は,地方自治体の業務の一環として多くの自治体に設けられています。この機関は住民サービスが目的ですから,経費的には割安で,実費程度か無料というところが多く,経済的に負担にならないのが特徴です。ただし,入会資格はきびしく,その市区町村に在住または在勤者といった条件があったり,収入証明書や住民票などいくつかの書類をそろえ,本人が来所して面接するなど,本人自身の意思と資格が問われます。逆に言えば,それだけ信頼性が高いことの証明ともなり,事実,再婚や中高年の結婚に実績のある所が多いようです。地味ながら,信用度では格別ということでしょう。
●民間はタイプがいろいろ。特色と実績を見きわめて
   一方,民間の場合は,先に述べたように企業関係者中心のもの,コンピュータやVTRを使った全国組織を誇る一般向けのところなどさまざまです。入会金もまちまちで,それぞれの相談所の特徴,会員の特徴がありますから,自分の希望するタイプの人が集まりやすい組織かどうか見きわめることが大切です。
   見きわめ方の一つは,入会基準の要綱です。会によっては入会資格をかなりしぼっているところがあるので,そういう場合は入会資格をチェックするだけで,その会にはどのような職種,タイプの人が集まるのか判断することができます。
   選択のポイントとしては,その企業の姿勢,実績ですが,それは会員数や紹介の仕方,そのあとのフォローなど業務内容を調べること。カウンセラーの資質も大いに関係します。もちろん費用,条件についても確認しましょう。なかには経営内容が曖昧な相談所もあるので注意が必要です。
   いずれにしろ,入会する前に,その会のカウンセラーと面談して詳しいことを聞いてみるといいでしょう。面談後に不安が残るようなら消費生活センターなどで,その会に対するクレームの有無を調べてもらうのも一法です。

−仲人の組織ってなに?
●書類が一人歩きしないよう慎重に
   最近の傾向として,組織化された仲人の活動が活発なように思われます。これは,縁談の世話をしたい人が集まって連絡会のような組織をつくり,あるいは仲人志望の人たちを会員にして全国的に情報交換し,広い範囲から相手を選んで見合いを進めるという仕組みです。
   縁談を求める本人にはわかりませんが,縁談を依頼した先の,その人の知人などがこうした組織に属していると,まったく想像もつかない遠いところから候補者が現れたりします。縁談を依頼した先から連鎖的に四〜五人の紹介者が入っているなどというのも珍しくありません。
   広い範囲からいい相手が見つかるという可能性はあるのですが,あいだに複数の紹介者が入ることにより,経済的負担もさることながら,先方について責任をもって紹介できる人がいないという,かなり無責任な紹介になりがちです。いったん書類を他人に渡してしまうと,書類が一人歩きして,このように思わぬ人の手に渡ることもあるわけで,そうなると,やれ見合いのお礼がいくら,書類送付の手数料がどうのといった利害も含め,人の心,好意,信頼関係から成り立つ縁談は望めなくなります。謝礼の金額にしても企業と違ってはっきりしませんから,かえって不明朗でいやな思いをしがちです。希望条件にマッチした相手を広範囲に求めたい気持ちは一理あるものの,本人にとっては大事な人生にかかわることですから,書類が一人歩きしないためにも依頼者を厳選して,くれぐれも慎重に話を進めるようにしましょう。