祝事のマナー

−卒業・就職の祝い方は?
●一人前の大人としてお礼も子供本人から
   入園や入学が家庭から社会への巣立ちなら,学窓を巣立つ卒業や就職は親からの巣立ち,つまり自立を意味します。たとえ未成年であったとしても,就職をしたら社会人としての生活が始まります。新たな子供の門出を祝って激励をおくりましょう。
   卒業式や入社式に合わせて,家族揃って会食することが多いようですが,その折りには,親は子供を一人前に扱って大人同様のもてなしをするのが,意味のある祝い方でしょう。家庭で祝う場合でも,親しい方を招いて晩餐会ふうにもてなすのも良いのではないでしょうか。
   また,祝いの品は,社会人として必要な衣服やアクセサリーなど。独立して生活する子供には生活用品なども考えられます。例えば,食事をきちんとするように炊飯器や冷蔵庫を贈ったり,生活の基礎資金として少し蓄えを入れた通帳と印鑑など,はなむけや生活への責任感という意味を込めてお祝いするのが良いでしょう。
   社会人として歩み出したからには,お祝いへのお礼も本人からあいさつをさせ,親は口添えする立場に留めます。祝ってくれた人たちの期待に背かず,本人が責任を持って礼を尽くさなければ意味がありません。直接出向くなり,手紙でお礼を述べ,お返しは初月給や初ボーナスで報告と感謝の気持ちを届けさせましょう。
   祖父母や親類の立場なら,独り立ちに少し手助けするという,そんな思いやりのあるお祝いがふさわしいものです。男子ならネクタイとワイシャツ,女子ならスカートやハンドバッグなど,社会人としての準備の足しになるような生活の必要品をプレゼントしましょう。一人暮らしを始めるなら家庭用品や家具など,本人の希望をたずねて用意してあげるのもひとつです。
   また,本やCDなどのほか,これからの人生の指針になるようなもの,目には見えないけれど役立つ知恵などを伝授するのもいいかもしれません。

−成人式に出席する装いは?
●自分らしさを象徴する礼装を新調するつもりで
   かつての元服に相当する成人式は,戦後に制定された祝祭日です。この日から子供は社会の一成員として正式に認められます。本人にとっては,これを機会にすべて自分の責任において人生を歩み始めることになり,親にとっては子供を一人前,つまり自分と同格の人間として接することになる日です。親と子供はもちろん,子供と社会との新しい関係のスタートを記念して祝いたいものです。
   成人式には,地域や職場で式典が行われることも多いので,ぜひ出席して同年代の友だちと喜びを分かち合いましょう。こういった式に出席するときやお祝いのパーティーには,自分の考えで式典や記念行事にふさわしい改まった服を選びます。男性なら上下揃いの背広にネクタイ,フォーマルにしたければダークスーツを。女性は振り袖やパーティーウェアが主流ですが,スーツやフォーマルなドレスのほうが自分らしさを出せるかもしれません。どちらにしろ,今後の生活に必要な礼服をこの機に新調するのが意味のあることです。レンタルしてまで晴れ着を着るのは,成人式の主旨から考えるとあまり感心できることではないでしょう。

−成人式の祝いの品は?
●独立する子供に対して何が大切かを考えて
   親の場合,独り立ちする子供に対して何をすることがいちばん大切かを考えましょう。たとえば,社会人として必要な礼装や印鑑などを贈るのもいいですが,一流しストランやバー,料理屋に招待してもてなすのも一案です。こういった場所で接待することで,場慣れさせるという思いやりにもなり,同時に大人扱いすることで子供に成人の自覚を促します。   祖父母や親類なら,本人の生活環境を考え,一人前の人間として社会生活をするための手助けを。男性には名刺入れやキーホルダー,高額品ならOA機器など。女性には化粧品やブラウスなどが喜ばれるでしょう。さらに,音楽会や観劇のチケットを贈るのも良いでしょう。
   親しい友人や知人なら,パーティを開くのがいちばん。これをきっかけに新たな人間関係を築いていくのが意味あることだからです。プレゼントには身のまわりや趣味のもの,生活や仕事に役立つものが適しています。
   お礼は,もちろん本人から。できれば直接出向いてお礼と報告のあいさつをしましょう。もし自宅へ招いてもてなすなら,祝い膳の用意は親の手を借りても,あいさつは本人から述べることが大切です。招かないときは内祝いの品を贈ります。